ミルクシスルティーは乳白色で白いすじがあるハーブの葉から作られます。
このお茶ついて、肝臓を保護したり、母乳の出を良くしたり、糖尿病の治療に良いなど、多くの効能がうたわれています。しかし、その効能を裏付ける調査結果はあまりありません。
この記事では、ミルクシスルティーの成分、本当に効能があるのか、副作用、作り方など、このお茶について詳しく見ていきます。
ミルクシスルとは?
ミルクシスル(シリバム・マリアナム)の和名はオオアザミ、キク科の植物で、原産地は地中海です。
その名前の由来は、葉に乳白色の縞模様があり、葉をちぎると白い樹液が出てくることにあります。紫色の花をつけます。
オオアザミは、マリアアザミ、神聖なアザミ、まだらのアザミ、オオヒレアザミとも呼ばれています。伝え聞くところによると、聖母マリアがイエスキリストに乳を飲ませた時に、乳がアザミの葉にこぼれたことから、その葉に白い縞模様ができたと言われています。
オオアザミが母乳の出をよくすると言われる所以は、オオアザミの樹液が乳白色であることと上記の聖母マリアの話が関係しています。
昔から、オオアザミは肝臓や胆のうの不調を治すために使われていました。神経変性の疾患、がん、糖尿病、心臓疾患を防ぐ可能性があることを示す調査結果もあります。
オオアザミは、カプセル、錠剤、液体抽出物、お茶の形で体に取り入れることができます。この植物の種や、時に葉も、これらを造る製造過程で使われます。
オオアザミのお茶として知られるミルクシスルティーはタンポポ茶より優しい味です。
まとめ
ミルクシスル(オオアザミ)は葉に白い縞模様ある植物で、昔から肝臓の不調を治したり、母乳の出をよくしたりするためなど、様々な目的のために利用されている。お茶だけでなく、錠剤や液体抽出物の形で摂取できる。
体に良い成分
オオアザミに含まれる主要な活性化合物はシリマリンで、その主要成分はシリビンです。
シリマリンは花や葉に含まれますが、最も多く含むのは種です。
オオアザミが体に良いとされるのは、このシリマリンに抗酸化作用があるとされているためです。
シリマリンは、細胞を破壊したり、病気を促進させるフリーラジカル(遊離基)と呼ばれる反応分子を除去したり、その生成を防ぐことから抗酸化作用があると言われます。また、シリマリンは体の炎症反応を抑える効果もあるようです。
ミルクシスルティーは、オオアザミの種をまるごと、あるいは種を粉にして作るため、お茶にもシリマリンは含まれますが、抽出物ほど多く含まれません。
さらに、オオアザミは体に吸収されにくく水溶性ではないため、ミルクシスルティーとしてオオアザミを飲むことは、この植物が含む体に良い成分を摂取する一番良い方法とは言えません。
まとめ
ミルクシスルティーに含まれる体に有効な主要な成分は集合的にシリマリンと呼ばれ、このシリマリンという成分に抗酸化作用があるため、このお茶が体に良いとされている。
効能
オオアザミに関する研究はどれも小規模か信憑性に欠け、結果もまちまちです。さらに、そうした研究が少ない上に、研究は主にお茶よりも濃縮された抽出物や錠剤を中心に行われています。
そのため、今までの研究結果より明らかになっているオオアザミの効能については、希釈されたミルクシスルティーに当てはめることは難しいでしょう。特に、オオアザミが水に溶けにくく、吸収されにくい事を考えると尚更そうでしょう。
オオアザミの以下の効能を考える時には上記の点に注意してください。
肝臓の健康
オオアザミの効能として、研究結果からもっとも実証されているのは、肝臓の健康を促進することです。
いくつかの研究結果より、ウイルス性肝炎、アルコールに起因する肝臓疾患、アルコールに起因しない脂肪肝の疾患、肝臓がん、薬物や毒物による肝臓へのダメージなどに対する対処、治療にオオアザミが効果的であることが分かっています。
しかしながら、これらの肝臓疾患の発症を防止する効果があるかどうかまでは分かっていません。
どのようにオオアザミが肝臓に影響を与えるかは不明ですが、オオアザミから抽出されるシリマリンに抗炎症作用、抗酸化作用、抗ウイルス作用があると考えられているようです。
例えば、ある研究によると、シリマリンには、アルコールに関わる肝臓疾患である肝硬変にり患した患者の寿命を伸ばす効能があることが分かっています。それは、アルコールが代謝される時に発生するフリーラジカルから、シリマリンが肝臓を守るため、寿命が延びるようです。
また、オオアザミの抽出物やシリマリン単体が炎症マーカーの改善や、肝臓疾患を抱える患者の肝臓へのダメージを改善する効果があるのではと考えられているようですが、あまり実証されていません。
結局のところ、オオアザミの効能や安全性については、ミルクシスルティーについても、肝臓疾患に対する治療の点でも、まだ確認されておらず、更なる研究が必要でしょう。
母乳
オオアザミはプロラクチンと呼ばれるホルモンの量を増加させると考えられているため、授乳中の人にとって母乳の出を良くするとされています。
しかし、その見解を実証するような臨床結果はほどんどなく、ミルクシスルティーにその効果があるかについては、そのような効果を実証する臨床結果はひとつも存在しません。
50人の授乳中の女性に対してランダムに行われた調査結果より、オオアザミに含まれるシリマリンを63日間毎日420mg摂取したグループでは、偽薬を摂取したグループよりも60%以上母乳の出が良くなったことが分かりました。
ただし、授乳中にオオアザミのサプリメントを摂取することや、ミルクシスルティーとして飲むことの安全性や効能については更なる研究が必要でしょう。授乳中にオオアザミを摂取する際はヘルスケアの専門家と相談してください。
糖尿病
オオアザミはまた、その糖尿病に対する効能でも注目されています。
ある程度体系化された研究結果より、シリマリンのサプリメントが糖尿病患者の空腹時の血糖値を大幅に下げる効果があることが分かっています。しかしながら、それらの研究の質が低いため、さらなる研究が必要と言われています。
オオアザミが、インスリン感応性を改善し、糖尿病に関わる炎症を抑えることで、血糖値を下げる効果があると考えられているようです。
研究結果よりその効能が期待できますが、オオアザミの抽出物やミルクシスルティーの糖尿病に対する効能については、もっと大規模で、より体系化された研究が必要でしょう。
まとめ
オオアザミが、肝臓疾患の治療、母乳の出に効果があり、糖尿病の治療にも効果があることが、極めて限定的な研究結果より明らかになっている。しかし、ミルクシスルティーに関する研究は今のところ行われていない。
適量と副作用
ミルクシスルティーについては、適量とされる量について、一定の見解はありませんが、過度に摂取しないように気を付けるべきでしょう。
参考までに、オオアザミのサプリメントについては、24週間一日3回 700mgまでは許容されています。
オオアザミの副作用としては、胃のむかつき、吐き気、下痢などがあります。
妊娠中や授乳中の女性にミルクシスルティーが及ぼす影響についての研究は、今のところ限られているため、妊娠中や授乳中の女性がこのお茶を飲む場合には、ヘルスケアの専門家に相談してください。
オオアザミは血糖値を下げる効果があるとされていますので、糖尿病患者の場合は、オオアザミのサプリメントを摂取したり、ミルクシスルティーを飲んだりする場合は気を付けた方が良いでしょう。
最後に、ブタクサ、菊、マリーゴールド、デイジーのように、オオアザミと同科の植物に対してアレルギーがある場合は、オオアザミに対してもアレルギー反応が起きる可能性がありますので、注意してください。
まとめ
オオアザミは過度に摂取しない方が良い。妊娠中や授乳中の場合、糖尿病患者の場合、オオアザミと同科の植物にアレルギーがある場合は、注意が必要で、オオアザミを避ける必要があるかも知れない。
ミルクシスルティーの作り方
家庭で簡単に作ることができます。種や葉のまま、種や葉を挽いた状態、あるいはティーパックの形で購入できます。
ティーパック一つあるいは小さじいっぱいの種や葉を1カップ(237ml)の熱湯に5-10分間浸してください。ティーパックを使わない場合は、飲む前に種と葉をこしてください。
まとめ
ティーパック一つ、あるいは小さじ一杯分のオオアザミを熱湯に5-10分浸して、ティーパックを使わない場合は茶葉等を飲む前にこす。
要点
ミルクシスルティーはハーブティーで、肝臓の健康を促進し、母乳の出を良くし、糖尿病に対して効能があるとされています。
しかしながら、ミルクシスルティーに関する研究は行われていません。また、オオアザミの有効成分であるシリマリンに関する研究も限定的です。オオアザミはまた、お茶の形では吸収されにくいとされています。
それでも、ミルクシスルティーを楽しみたいのであれば、ご家庭で簡単に作ることができます。ただし、その効果と安全性を実証するため、さらなる研究が必要であることを忘れないでください。