十分な睡眠をとることは、あなたの健康にとって非常に重要です。
睡眠は体と脳がしっかりと機能することを助けます。夜の睡眠は、学習、記憶、意思決定、さらには創造性を向上させます。
さらに、睡眠不足は、心臓病、糖尿病、肥満などのリスクを高めます。
これにもかかわらず、睡眠の質と量はこれまでになく低く、ますます多くの人々が睡眠不足を経験しています。
良い睡眠は、良い睡眠習慣から始まるということを覚えておいてください。 しかし、それだけでは不十分な場合もあります。
夜によく眠るために少し手助けが必要な場合は、次の9つの自然な睡眠を促すサプリメントを試してみてください。
1.メラトニン
メラトニンはあなたの体が自然につくるホルモンであり、それは眠る時間であることを脳に知らせます。
このホルモンの生成と分泌のサイクルは、時間の影響を受けます。メラトニンのレベルは、夕方には自然に上がって朝には下がります。
このため、メラトニンサプリメントは、特に時差ぼけなどのメラトニンサイクルが狂った場合に、人気のある睡眠補助剤になっています。
さらに、メラトニンは日中の睡眠の質と持続時間を改善するという研究もあります。これは、シフト勤務などで日中に睡眠を取らなければいけない人にとって特に有益です。
もっと言えば、メラトニンは睡眠障害のある人の全体的な睡眠の質を改善するかもしれません。 特に、メラトニンは、眠りにつくまでの時間を減らし、睡眠時間の総量を増やすようです。
メラトニンが睡眠に良い影響を与えなかったという研究もありますが、それらは一般的に数が少ないです。 就寝前に3〜10ミリグラム(mg)のメラトニンを摂取した人が良い効果を得ています。
メラトニンサプリは、大人であればどれだけの期間使用しても安全だそうです。
概要
メラトニンサプリは睡眠の質を改善するかもしれません。 時差ボケや交代勤務をしている場合は特に役立つようです。
2. セイヨウカノコソウ
バレリアンは、アジアとヨーロッパ原産のハーブです。 その根は、不安、うつ病、閉経の症状の自然治療法として一般的に使用されます。
セイヨウカノコソウは、米国とヨーロッパで最も一般的に使用されている睡眠促進ハーブサプリメントの1つでもあります。
しかし、研究結果には一貫性がありません。
ランダム化比較試験によると、閉経期および閉経後の女性は、セイヨウカノコソウを服用した後に睡眠の質と睡眠障害の症状が改善することが分かりました。
2つの古い文献のレビューでも、就寝直前に摂取した300〜900 mgのセイヨウカノコソウが睡眠の質(自己評価)を改善する可能性があると報告されています。
それにもかかわらず、これらの試験や研究で観察された改善はすべて主観的なものでした。 彼らは、脳波や心拍数などの睡眠中に行われた客観的な測定値よりも、参加者の睡眠の質の認識に依存していました。
他の研究では、セイヨウカノコソウの効果は良くてもごくわずかであるとされました。 たとえば、眠りに落ちるまでの時間が少し改善されるくらい。
とにかく、セイヨウカノコソウの短期間の摂取は、大人にとって軽度でまれな副作用で安全である。
客観的な測定値がないにもかかわらず、使用を試みる大人がいます。
とは言え、長期使用や妊娠中や授乳中の女性など特定の人の使用についての安全性は不確実なままです。
概要
セイヨウカノコソウは、少なくとも一部の人々には、睡眠の質と睡眠障害の症状を改善する可能性がある人気のサプリメントです。 長期使用の安全性については、さらに研究が必要です。
3. マグネシウム
マグネシウムは人間の体内の何百ものプロセスに関与するミネラルであり、脳の機能と心臓の健康にとって重要です。
また、マグネシウムには心身を落ち着かせ、眠りに落ちやすくなる効果があります。
研究によると、マグネシウムのリラックス効果は、メラトニンの生成を調節する能力が一部あるようです。 マグネシウムは筋肉をリラックスさせ、眠気を催します。
ある研究では、マグネシウム、メラトニン、ビタミンBの組み合わせが、その原因に問わず不眠症の治療に効果的であることがわかりました。
マグネシウムには、鎮静効果のある脳メッセンジャーであるGABAを増加させる働きもあるようです。
研究によると、体内のマグネシウム量が不十分であると、睡眠障害や不眠症につながる可能性があります。
一方で、サプリメントによってマグネシウムの摂取量を増やすと、睡眠の質と量を最適化するのに役立ちます。
ある研究では、46人の参加者に毎日500 mgのマグネシウムまたはプラセボが8週間与えられました。 マグネシウムグループの人々は、全体的に睡眠の質が上がりました。また、睡眠を調節するホルモンであるメラトニンとレニンの血中濃度が高かったです。
別の研究では、225 mgのマグネシウムを含むサプリメントを与えられた参加者は、プラセボを与えられた人よりもよく眠っていました。 ただし、サプリメントには5mgのメラトニンと11.25 mgの亜鉛も含まれており、効果がマグネシウムのみの影響なのかは分からない。
どちらの研究も、はじめにマグネシウムの血中濃度がより低い可能性がある高齢者を対象に実施されたことは注目に値します。 これらの効果が、食事でしっかりとマグネシウムを摂取できている人が同じくらい強いかどうかは不明です。
概要
マグネシウムには身体と脳へのリラックス効果があり、睡眠の質を改善するのに役立ちます。
4. ラベンダー
ラベンダー植物はほとんどすべての大陸にあります。紫色の花が咲き、乾燥すると家庭でいろんな方法で使用されます。
さらに、ラベンダーの心地よい香りは、睡眠を促すと信じられています。
実際、いくつかの研究では、睡眠の直前にラベンダーオイルを嗅ぐだけで、睡眠の質を改善できることが示されています。 この効果は、軽い不眠症の人、特に女性と若い人に強く表れるそうです。
認知症の高齢者を対象とした小規模な研究でも、ラベンダーのアロマセラピーが睡眠障害の症状の改善に効果的であることが報告されています。 睡眠時間が増えました。 また、3時頃に目が覚めてしまい再び眠りにつくことができない人も少なくなりました。
別の研究では、不安障害のある221人に1日あたり80 mgのラベンダーオイルサプリメントまたはプラセボを与えました。
10週間の研究を終え、両グループでは睡眠の質と持続時間の改善が見られました。 とは言え、ラベンダーグループでは14〜24%とより大きな影響があり、不快な副作用は報告されていません。
ラベンダーのアロマセラピーは安全とされていますが、ラベンダーの経口摂取は吐き気や胃の痛みを催す場合があります。 エッセンシャルオイルは、アロマセラピー用であり、経口摂取用ではありません。
また、ラベンダーサプリメントの睡眠への影響についてはほんの限られた量の研究しか発見できていません。 つまり、強力な結論を出すには、さらに調査が必要です。
概要
ラベンダーのアロマセラピーは、睡眠の改善に役立ちます。 ラベンダーサプリメントの有効性と安全性を評価するには、さらに研究が必要です。
5. パッションフラワー
パッションフラワーは、トケイソウインカルナタまたはメイポプとも呼ばれ、不眠症の人気のあるハーブ療法です。
パッションフラワーの中でも睡眠改善に関連する種類は北米原産です。 現在は、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアでも栽培されています。
パッションフラワーの睡眠を促す効果は動物実験で実証されています。 一方で人間への影響は、摂取した種類によって左右されるようです。
人間を対象としたある研究では、パッションフラワーティーの効果とパセリの葉で作ったプラセボティーの効果を比較しました。
参加者は、1週間それぞれのお茶を就寝の約1時間前に飲み、1週間空けてもう一方のお茶を1週間飲みました。 各ティーバッグを10分間浸し、研究者は睡眠の質を客観的に測定しました。
この3週間の研究では、参加者の睡眠は改善されないことが客観的な測定で分かりました。
しかし、主観的な睡眠の質の評価では、パッションティーの週に比べてパッションフラワーティーの週のほうが約5%高く評価されました。
不眠症の人々を対象とした最近の研究では、パッションフラワーエキスを2週間以上摂取した人は、プラセボグループと比較して、一定の睡眠パラメーターにかなりの改善がありました。
以下が、これらのパラメーターです。
・総睡眠時間
・睡眠効率
・眠り始めてから起床時間
一方で、1998年の研究では、従来の睡眠薬である1.2グラムのパッションフラワーサプリメントとプラセボの効果を比較しました。 研究者たちは、パッションフラワーサプリメントとプラセボに違いはないことを発見しました。
さらなる研究は必要ですが、パッションフラワーの摂取は一般的に成人であれば安全です。 今のところ、パッションフラワーは、サプリメントではなくて、お茶やエキスとして摂取した方がより多くの利益をもたらすようです。
概要
パッションフラワーまたはそのエキスは、一部の人の睡眠の質の改善には少し役立ちます。 しかし、その根拠は様々で、効果が見られなかった研究もあります。つまりまだまだ研究が必要なのです。
6. グリシン
グリシンは神経系で重要な役割を果たすアミノ酸です。 睡眠の改善にも役立つかもしれないという研究もあります。
これがどのように機能するかは正確には不明ですが、グリシンは就寝時に体温を下げることによって一部作用し、睡眠の時間であることを示していると考えられています。
2006年のある研究では、睡眠不足の参加者が就寝前に3グラムのグリシンまたはプラセボを服用しました。
グリシングループの人々は、翌朝の疲労感が少なかったそうです。 また、活気やエネルギー、頭の回転が高かったと言いました。
2007年の研究では、睡眠不足の参加者におけるグリシンの影響も調査されました。 研究者たちは、睡眠中に脳波、心拍数、呼吸の測定を行いました。
就寝前に3グラムのグリシンを摂取した参加者は、プラセボ群と比較して、睡眠の質の客観的尺度が改善されたそうです。 また、グリシンサプリメントは参加者がより早く眠りに落ちるのにも役立ちました。
ある小規模な研究では、グリシンは一時的に睡眠不足の人の日中のパフォーマンスを改善するそうです。
参加者は、3日間の実験で毎晩就寝前に、3グラムのグリシンまたは3グラムのプラセボを服用しました。 グリシングループは、疲労と日中の眠気の大幅な減少を報告しました。
グリシンは錠剤もしくは粉末タイプの購入が可能です。 体重1キログラムあたり最大0.8グラムを1日に服用することは安全とされていますが、さらに研究が必要です。 多くの睡眠研究の参加者は、1日3グラムしか服用していないのが現状です。
また、以下のような栄養素が豊富な食品を食べることで、グリシンの摂取量を増やすことができます。
・骨で取ったスープ、肉、卵、家禽、魚などの動物製品
・豆
・ほうれん草
・ケール
・キャベツ
・バナナやキウイのような果物
概要
就寝前にグリシンを摂取すると、入眠を促し、睡眠の全体的な質を向上させるのに役立ちます。
7-9. 他のサプリメント
市場にはさらに多くの睡眠促進サプリメントがあります。 しかし、すべてがしっかりとした科学的研究によって支持されているわけではありません。
以下のリストは、睡眠に有益かもしれませんが、より科学的な調査が必要なサプリメントです。
・トリプトファン:ある研究では、この必須アミノ酸を1日に1グラム程の微量の服用は、睡眠の質を改善するかもしれないことが報告されています。また、この服用でより早く眠りに落ちる可能性もあるようです。
・イチョウ:以前の研究によると、寝る30〜60分前にこの天然ハーブを約240 mg摂取すると、ストレスを軽減し、リラックスできて、睡眠を促進する可能性があります。 動物実験でも同様の結果があります。
・L-テアニン:このアミノ酸を最大400 mg含むサプリメントを毎日摂取すると、睡眠とリラクゼーションの改善に役立ちます。 動物研究では、GABAと組み合わせるとより効果的かもしれないとされています。
カヴァは、いくつかの研究で睡眠促進の効果があるといわれている植物です。 それは南太平洋の島々が原産で、その根は古くからお茶として使用されています。 サプリメントの形で消費することも可能です。
ただし、カヴァの使用は低品質や異物混入が原因で重度の肝障害を引き起こす場合があります。 カナダやヨーロッパの一部では、使用を禁止しています。
カヴァを使用する際には特に注意してください。 信頼できる第三者機関によって認定されたサプリメントのみを購入してください。
概要
トリプトファン、イチョウ、L-テアニンはどれも睡眠の促進に役立つ可能性があります。 しかし、それらを裏付ける研究が少ないので、まだまだ研究が必要です。 カヴァを試す前には十分に注意してください。
その他のOTC医薬品の選択
店頭で買える他の睡眠補助剤は、ジフェンヒドラミンとコハク酸ドキシラミンです。 どちらも抗ヒスタミン剤です。
ジフェンヒドラミンは、ベナドリルなどの一般的なアレルギー治療薬の有効成分です。 ジフェンヒドラミンの主な用途は睡眠薬ではありませんが、眠気を引き起こし、睡眠を促進するためによく使用されていました。
ジフェンヒドラミンは、ZzzQuil、Unisom SleepGels、およびUnisom SleepMeltsにも含まれています。 コハク酸ドキシラミンは、睡眠補助剤Unisom SleepTabsの有効成分です。
睡眠補助剤としての使用を支持する証拠は弱い。 多くの専門家は、ジフェンヒドラミンとコハク酸ドキシラミンを推奨しておらず、睡眠の質を低下させると言う人もいます。
その他の副作用には、めまい、錯乱、口内乾燥などがあります。
OTC睡眠補助剤を長期間使用すると、薬物耐性が生じる可能性があります。 時間が経つと、抗ヒスタミン剤などの抗コリン作用薬の使用は、認知症のリスクも増加させる可能性があります。
これらの睡眠補助薬を試すことに興味がある場合は、頻繁に使用しないことを守ってください。 一度に2週間以上使用しないでください。
ただし、呼吸器疾患、高血圧、または心臓病のある人は、これらの薬を絶対に使用してはいけません。 なぜなら、頻脈または心拍数の上昇につながる神経系反応を誘発する可能性があるからです。
高齢者、特に肝臓や腎臓に疾患のある人は、副作用のリスクが高いので、ジフェンヒドラミンを使用しないでください。
概要
抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミンとコハク酸ドキシラミンは、睡眠を助けることがありますが、それが主な目的ではありません。 まだまだ証拠が足りていません。また、これらの薬を服用する際には起こり得る副作用に注意してください。
リスクと予防策
特に抗凝固薬などの薬物との薬物相互作用の可能性があるため、睡眠のためにハーブやOTC医薬品を使用する前には医師に相談する必要があります。
また、睡眠障害が2週間以上続く場合は医師に知らせてください。
多くのOTC睡眠補助剤は、ほとんど副作用がありません。 しかし、一部の長期的な影響についてはあまり知られていないため、注意することが重要です。
特定の睡眠補助薬に関する副作用を以下に示します。 これらの副作用のいくつかは、一部の研究や高用量を服用した人々でのみ観察されました:
・メラトニン:頭痛、吐き気、めまいなどの軽度の副作用
・セイヨウカノコソウ:下痢、頭痛、吐き気、動悸
・マグネシウム:高用量で摂取した場合の下痢、吐き気、嘔吐
・ラベンダー:吐き気と消化不良
・パッションフラワー:まれに、めまいと混乱
・グリシン:まれに、軟便と腹痛
・トリプトファン:軽度の吐き気、口渇、めまい、震え
・イチョウ:下痢、頭痛、吐き気、発疹などの軽度でまれな副作用
・L-テアニン:単独で摂取した場合の副作用もありません。L-シスチンと組み合わせると、下痢と腹痛があります。
一般に、妊娠中または授乳中の女性は、これらまたは他のサプリメントを試す前に医師に相談する必要があります。 ほとんどのサプリメントは、これらの人々にとっての安全性が確認されていないので避けるべきです。
マグネシウム、グリシン、トリプトファンはすべて胎児の発育に重要であり、妊娠中または授乳中の場合は回避する必要はありません。 ただし、医師はまれに起こる副作用を回避するために適切な投与量をアドバイスする必要があります。
概要
多くのOTC睡眠補助剤は、短期間の使用ではほとんど副作用はありません。 睡眠のためにハーブやOTC薬を使用する前には、医師に相談する必要があります。 妊娠中または授乳中の場合は、これらの製品ほとんどの使用を完全に避けてください。
大事なこと
これらを試してみたい場合は、上記に関する情報はオンラインでも確認できます。
質の高い睡眠は、よく食べて定期的に運動することと同じくらい重要です。
それにもかかわらず、多くの人々は、入眠トラブルやや、頻繁に目を覚ましたり、寝起きが悪かったりと問題を抱えています。これは、きちんとした健康と幸福を維持しづらくします。
薬を服用する前に、電子機器を寝室から離したり、寝る前のカフェイン摂取を制限するなど、良い睡眠習慣を取り入れてみてください。
上記のサプリメントは、安らかな睡眠のための方法の1つです。 とは言っても、良い睡眠習慣と組み合わせて使用することがおそらく最も効果的です。